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「オリンピック特需」が収束に向かう兆し

2013年の東京オリンピック開催決定から、マンション価格を中心として「不動産バブル」が続いている日本。しかし五輪開催を約1年後に控えた昨今では、不動産バブルを支えていた「オリンピック特需」に陰りが見え始めています。

6月の首都圏マンション発売数は大幅減少

2019年上半期の首都圏マンションの発売戸数は、13,436戸で前年比13%減。昭和期バブル崩壊以来27年ぶりの低水準になっています。さらにマンションの契約率も右肩下がりで、2019年上期、販売月に売れた割合は66.5%。契約率は70%以上が好調ラインといわれていますから、決して売れ行き好調とはいえません。建築ラッシュが続いていた新築マンションは今、在庫が山積みになっているのが現状です。

そんな中、新築マンションの平均価格は6,137万円と、昭和期バブル並みの高水準を保ったまま。一般的なサラリーマンには買えない価格になってしまっていることもまた、新築マンションが売れなくなった要因の1つだといえます。

建築資材の高騰は収束傾向に

なぜこれほどまでにマンション価格が高騰しているのかというと、やはりオリンピック開催の影響を大きく受けているといえるでしょう。

五輪開催による競技場や選手村、関連施設などの建設に伴い、建設業界では資材と人が不足しています。「資材や人件費の高騰」という物理的要因が、新築マンション高騰の一因となっているのです。

しかしこの建築資材の高騰は、収束傾向にあります。五輪関連施設の建設ラッシュが一服したこともあり、建築用資材として代表的なH形鋼の価格が2%下落したのに続き、主要な資材である山形鋼、みぞ形鋼なども次々に下落。建築資材は、徐々に従来の水準に戻っていくことが予想されます。それに伴い、著しく高騰しているマンション価格も下落に転じていくと見られています。

中古マンションの現状

新築マンションの高騰や人気に引っ張られる形で推移している中古マンション価格ですが、こちらはいまだ平米単価、成約率ともに高水準で推移しています。

(出典:東日本レインズ)

「高水準で推移」というより、さらに高騰を続けているというのが中古マンション市場の特徴でしょう。首都圏中古マンションの成約平米単価は6年以上連続で上昇しており、2019年4月~6月期の成約件数は過去最高を記録しています。

今後、下降に転じてしまうことも危惧される

先述通り、今の中古マンション価格の高騰や成約率の高さは、新築マンション市場に大きく影響を受けています。今後、新築マンションの価格が下落に転じたり、マンションストック数がさらに増加したりすれば、中古マンション市場にも深刻な影響を与えることが予想されるのです。

さらに消費税の増税や金融緩和政策の行方によって、不動産全体の消費が落ち込む可能性も危惧されます。

オリンピック特需によりマンションを中心に活気を見せている不動産市場ですが、人口減少、高齢化、空き家問題…と、今の日本は不動産取引にとって決していい環境ではないことは確か。今のオリンピック特需は、「不動産の最後の売り時」となってしまう可能性も否定できません。